本は剣よりも強し

読書を自分の武器にする技術 尾藤克之 WAVE出版

記録によりますと、私はこれまで読書に関する本を128冊読んできました。この本が128冊目になります。

さまざまな読書を進めつつ、自分の読書を見直すためにも多くの読書関連本を読んできました。当初は本から学ぶことが多く、徐々に自分の意見と合致している記載に嬉しいことが多く、最近はもう知ってるよとウンザリすることもある印象です。

しかし、この本には読書の効果や方法などを多過ぎることもなく少なすぎることもなく、体系的にまとめて書かれてあります。

さらに、タイトルに「技術」とあるとおり、読書をどのようにして自分の武器とし、仕事や日常など生きることに応用していけばよいのかという点で、分かりやすく実践的に書かれていると感じました。

読書関連本については食べ過ぎ、飲み過ぎ、食傷ぎみの感があった私(消化吸収能力に問題があるのかもしれませんが)。この本を読んで読書に関する自分の考え方や知識が上手く総括され、スッキリ消化された感じがします。

また、著者がこれまで読んできた数多くの読書関連本のなかから厳選した本について、著者のコメントも添えて載せられてありますので、読書関連本についての優れたブックガイドにもなります。

どのように本を読んでいったらいいか不安な読書初心者から、読書を長く続けてきて今後どのように読書を活かしていけばいいのかと考えはじめた方まで、幅広く参考になる本です。

アウトプットに残すことで、行動変容が促されます。時間をかけて読書をしても、自分の行動変容に変化を起こさないと読んだ本も報われません。(P36)

自分の行動を変えたいと考えていても、頭の中で考えているだけでは行動は変わりません。なんらかのカタチで行動してみること、表現してみることが大切です。

行動して実践したり、言葉として表現してみたりすることで、その行動や言葉が相手にどのような影響を与えたかを知ること、自分にフィードバックされることにより、定着します。

読書の目的は数多くありますが、知識や技術を読み取って自分のものとして活かしていくこともその一つです。とくにビジネス書、実用書はそのために読むものでしょう。読んだからにはその内容を見につけたいものですよね。

そういった本を読んだあとは、内容を実践してみることが大切ですね。最初から書いてあるように上手くいくわけではありません。でも、実践してみて内容の通りにはできなかったとしても、自分なりに何らかの効果を得られることはあります。

心理学者のウィリアム・ジェームズをはじめ多くの人が言っています。「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」と。

「運命」は自力では変えられないもののように感じますが、生まれた時代や出生地、親など絶対に変えることができない「宿命」と異なり、ジワジワと変えていくことができるものです。

まずは読書をして、言葉を頭に取り込むことで「心」を変えていきましょう。読書は心の栄養になります。そこから、いかに「行動」を変えるという次のステップに移すかが大切ですね。そのためにはアウトプットです。

本を読んだだけで終わらせるのではなく、読みながら書き込みをして行動を伴った読書にすることや、頭に定着させるためにも感想や書評を書いてみることが、読書を行動に移すために効果的と思います。

そうしてこそ、数々の難関を乗り切って世に出てきた本も、自分の役目を果たし報われるというものでしょう。

アウトプットすることで、読んだ内容を自分の言葉で伝え、他者と共有することができます。また、アウトプットによって、新たな視点やイマジネーションがふくらみます。(P51)

私もこういったブログ記事として、読んだ本を通して考えたことをアウトプットしているつもりです。

ときどき同じ本を読んだ方などから本の感想を聞かせていただくことがあったり、また記事内容について感想をいただくこともあったりと、なかなか楽しいものです。

一冊の本を読者がどうのように読むかは、その読者の年齢や記憶、経験、知識など様々な状態、境遇によると思います。同じ本でも人によりさまざまな“読め方”があります。

自分はこう感じたとしても、他人はまた違った感想や反応を持つものです。こういったブログや書評を読むことや読書会などで、一冊の本を共有して十人十色の“自分の言葉”を持ち寄ってみるのもまた、読書の楽しみですね。

自分の言葉を表現してみることによる自分へのフィードバック、そして他者の言葉が頭を働かせてくれて、新たな視点やイマジネーションに繋がります。

読書は、私たちの人生に多くの影響を与えるだけでなく、私たちの人格や価値観にも影響を与えます。読書で得た知識や経験や知見は、私たちの考え方や行動に反映されます。(P172)

動物と人間の違いは何でしょうか。チンパンジーなどはかなり高度な作業も行い、ある程度の知能や身体能力的には人間に次ぐものかもしれません。チンパンジーとヒトの遺伝子は98%以上同じであって、その違いは2%程度しかないとも言われています。フツーに食事をとって成長するだけでは、ヒトはチンパンジー程度なのでしょうね。何がヒトという動物を人間にするのでしょうか。

「言葉」は、ヒトをチンパンジーから引き離す要素の一つでしょう。生まれたばかりのヒトの赤ちゃんも、しっかり栄養をとっていれば遺伝子的にそれなりの成体にはなります。

しかし、ヒトという動物が、いかにして人間という生き物になるかは、教育の影響が大きいのです。教育は言葉でなされます。その後の生活も言葉が大きく関わります。

教育の供給源は両親に始まり学校教育、日常や社会での教育、そして自分なりの勉強に続いていきます。

生涯学習という言葉もあるように、学校教育などである程度の社会で生きるための知識や技術を得た後は、自分で勉強して様々なことを学んでいくことが大切です。

その最も有力な手段が読書です。さらに読書は知識や技術を得る教育としての効果の他に、ストレス解消など現代社会に生きるために必須の効果を発揮してくれます。

生まれて育って小学校、中学校、・・・と教育を受けているときは、いかにも頭と心を使って人間らしく生きている気もします。

しかし社会に出て何も考えずに会社や上司、世間やネット情報に振り回され心をすり減らすだけの生活は、もはや人間の生活ではなく動物の生活に過ぎないのではないでしょうか。

ヒトが動物としてではなく人間として生きるためには、絶えざる教育と心の涵養を続ける必要があります。そのためにも、読書は必須ですね。読書は心の栄養です。

そして、動物としての性質である「老化」に抗(あらが)うことができる手段もまた、読書だと思います。

動物として遺伝子的、生物的には老化して衰えるのはやむを得ないものです。そんな中にあっても知性や精神については遺伝子や生物学的特徴に逆らって成長させ続けることができます。

現代の大きな社会問題である認知症についても、読書には予防効果があると言われています。動物のように遺伝子や環境に翻弄されて生きるのではなく、人間らしく生きるために、読書をしましょう。

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