本の選び方(1)

よく、「どんな本を読んだらいいですか?」とか、「どんな本がお薦めですか?」という質問が想定されます。

「本の選び方」などという確乎たる方法はないと思いますが、自分の考えを、少し書かせていただきたいと思います。

まず、「食物は身体の栄養」であるように、「書物は心の栄養」です。「どんな本を読んだらいいですか?」という質問は「どんな食べ物を食べたらいいですか?」と聞くのと似ているのではないでしょうか。

家族や友人、恋人などと複数でいるときには「夕飯なににするー?」などと相談することはあります。

でも、たとえば自分が一人で昼食に何を食べようと考える際、人に聞いたりはしないでしょう。(もっとも、グルメサイトや口コミ情報、雑誌などは参考にするかもしれませんが)

また、身体のために食物を摂るときには、多少の注意がいります。偏りなく、様々な栄養素のバランスよく食べることが必要です。

エネルギー源となる糖質であったり、身体を構築するたんぱく質であったり、様々なビタミンやミネラル、もちろん水分も必須です。

一方、読書の場合は多少偏りがあっても、悪影響は少ないと思います。あるときには一つのテーマ、一人の著者に“ハマり“、同じような内容の本、同じ著者の著作をたくさん読み込んだりすることもあります。

そういったことで、かえってそのテーマに関して様々な面から見た知識が深まり、良い「読書」といえるかもしれません。

おいしいものを食べたいので、食物におけるグルメサイトや口コミ情報を参考にするように、自分に合う本を見つけたい、出会いたいという気持ちがあるので、書物におけるランキングや書評サイトなどを参考にするのだと思います。

その根底には、「世の中には読んだほうがいい本、読むと役立つ本(あるいは役に立たない本)というものがあり、うまく選んで読まないと損だ(お金を払うんだし)」という考えが、あるのかもしれません。

しかし、グルメサイトで高評価でも実際に食べたら好みと合わなかったり、思ったほどでもなかったりということがあるように、本も読んでみないと分からないことがあります。

必ずしもベストセラーや話題の本が、自分にとって「読んで良かった」と思える本ではありません。

まあ、とにかく自分の「好きなこと」や「日頃感じていること」、いわゆる「原体験」などについての本を、まずは検索なり何なりで探してみて、読んでみるのがいいと思います。

また、書店をウロウロして「表紙に惹かれた」とか、「タイトルにピンときた」でもいいですから、手に取ってみましょう。

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