出来る男は超小食 船瀬俊介 主婦の友社
“できる男”ではありませんが、私も小食だと思います。特に、朝食はあまり食べないほうです。基本的に「成人は三食しっかりとらなくてもいい」などと思っています。
そんなときに目にしたのが、この本です。おお、朝食抜きを肯定してくれている。小食が健康にいいだけではなく、様々な効果を発揮するようです。
考えてみますと今の日本は飽食の時代とも呼ばれ、“食べ過ぎ”による弊害は生活習慣病などを引き起こし健康にも影響を及ぼしています。
もともと人間はしばらくのあいだ狩猟生活をしていたわけで、飢えには強くても過剰な栄養には弱いのかもしれません。
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著者は食品・医療・環境問題に取り組むジャーナリスト・評論家ということで、食事療法をはじめ、医学に対して新たな目線から取り組んでおられる方です。
その思想のなかには、我々の考え方をひっくり返すような「えっ!?」というものもありますが、まあ自分に合った方法を取り入れてみるのが良いでしょう。
この本で述べられていることも、極論に感じるかもしれません。でも、こういった本を読んで少しでも自分の食生活を見直してみるのもいいのではないでしょうか。
「朝ごはんを食べないと、エンジンがかからない」というのは間違いです。
「朝ごはんを食べるから、午前中にエンジンがかからない」のです。(P103)
世の中では、「朝食を抜くと体に悪い」とか「朝食は一日の活力源」などといったことも言われています。朝食をしっかり摂らない私にとっては、肩身の狭い思いでした。
確かに、朝食をしっかり食べると、昼までにお腹が減らずに過ごせる、なんとなく元気が出る気がする、といった感じはあります。
でも、朝食を摂らなくても摂っても、気持ちよく過ごせることもあればそうでないこともあります。結局はその日の出来事に左右されるわけです。
食事を摂ると、個人差はあるでしょうが眠くなることが多いです。とくに昼食後は眠くなります。
朝食後は、すぐに出勤や仕事が始まるでの、それほど感じないかもしれませんが、少しは頭の働きが鈍っているかもしれません。
一日の始まりに起こる出来事に、うまく対処できるように、頭はスッキリさせておきたいものです。
そのためには、おなか一杯になるほど朝食を摂らないことも、一利あるかもしれません。
理想の「ひらがな食」は、もう有名ですね。
「まごわやさしい」―「豆類」、「ごま」、「わかめ」(海藻類)、「野菜」、「魚」、「しいたけ」(茸類)、「いも」。これらを毎日食べれば、まさに健康間違いなし。それは、高カロリー、高たんぱく・・・など、洋食の“5高”に対して“5低”食です。(P123)
では、どんなものを食べればいいのか。そこで出てくるのがこの「ひらがな食」です。これはまさに「和食」に当てはまります。「和食」は人類が到達した理想の食事とも言われているようです。
和食のルーツはいろいろあるでしょうが、精進料理などにみられる質素・粗食に重きをおいた考え方があると思います。
禅僧の食事は一汁一菜の簡素なものと聞きます。お粥と少量の野菜、味噌などでごくシンプルに済ますようです(これは宮沢賢治だったかな?)。
私は、そんな食事で十分な栄養がとれるのかと、疑問に思ってました。
でも、そういった食事を続け、もちろん日々の作務でよく身体を動かし、坐禅などで心も整える生活を続けていると、身体のほうが、効率よく栄養素を吸収するために、なんとかしてくれるのかもしれません。
考えてみれば、大昔の狩猟時代も、近世のお百姓さんなども、今と違ってわずかな限られた種類の食物だけで生きていたのです。
そして、そういう状態が、心身が持つ機能をフル活動させている、健康という状態なのかもしれません。
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それまでの習慣や家庭の信条、個人的な体質や性格などもあるでしょうから、いちがいにみなさんに当てはまるものでもないでしょう。
また、育ち盛りの子どもには、小食や朝食抜きは避けたほうがいいと思います。まあ、うちの子どもたちの食べっぷりを見ていると、食事を抜くなんてことは考えられませんが。
また、子どもと一緒に食事をとることが、限られた時間の中での家族とのコミュニケーションだと考えていますので、バナナ1本でもいいから朝食を一緒にとるようにはしています。
食事には、たんに栄養を摂るということ以外にも、コミュニケーションの意味もあります。今となっては難しい食事会や飲み会も、そこに重点があるのだと思います。