将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる! 松永暢史 すばる舎
まあ、自分の子供が「学力が高い子」、「できる子」になってもらわなくてもいいですが、「読書好きな子」にはなってほしいと思います。
読書を生き方の一部とする私としては、自分の子供にも読書を勧めたいと思っています。
さて、どうすれば子供が本を好きになってくれるのでしょう、本に対して興味を持ってくれるのでしょう。
よく、「子供に将来どんな職業についてほしいか」などという質問が、テレビや何かでされていることがあります。
私は仕事については、親が子供に対してどう思うか、どう希望するかなんていうのは、全然どうでもよいと思います。
仕事なんて自分が興味をもってできそうなことなら、なんでもすればいいんじゃないの?というスタンスです。
しかし、読書については、これはもう手放しで勧めます。とはいえグイグイ読め読めと言ってもしょうがないでしょう。強制されてするものではありません。
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今回ご紹介する本は、そんな私も含めた悩める親御さんの期待に応えてくれる一冊です。
お父さんお母さん、じいちゃんばあちゃん、あるいは教育者などとして子供を相手にする人、する予定の人はぜひ手元に置いておきたい本です。
(参照ページは単行本版に基づいています)
絵本に書かれている一字一字のすべてを、子どもの耳から体内へ注入させるようなイメージで読んで聞かせること。これが読み聞かせです。
(P47)
まず、重要とされるのは幼少時の読み聞かせです。字を読めない年齢はもちろん、ある程度自分で読めても、親などによる読み聞かせは重要です。
「一音一音ハッキリ読み」で子どもがじっと耳を澄ます、と言っています。
私なんかも、夜寝る前に絵本を読んであげていると、つい面倒くさくなって早口になったり、不明瞭な発音で読んだりすることがあります。
本の読み聞かせというのは、文字が本当に子どもの体内に入っていかないといけないと思います。
読み聞かせのさい、子供はたんに文字情報を得ようと聞いているわけではなく、聞かされた文字情報から必死に、絵本であれば絵の情報も交えて、自分なりの解釈を作っていると思います。
だから、せめて文字情報は、しっかりと伝わるようにしたいものです。
子どもが読書を楽しみ、生活の一部にできるよう、「読書ノートをつける」ことをお勧めします。小さいうちは親が記録してあげてもいいでしょう。小学校に上がったら自分で書くという目安で行ってください。
(P160)
自分で読めないうちは、親が読み聞かせをしてあげます。(わたしも時々読み聞かせしていますが、けっこう発音や発声、スピードなどに気をつかい、頭の体操にもなります)
それから、小学校に入って読める文字が増え、文法など理解していきます。そういった段階を経て、徐々に長い本、難しい本も読めるようになるわけです。
読書を最大限に活かす秘策は「アウトプット」だと思います。これは我々大人になってからも同様です。
読んでいてピカリと光るところをメモしておこう、書き出しておこう、あるいは感想を書こうだとか、書評を書こうだとか考えて読むのです。
そうすると、実際にひっかかる箇所が見えてきますし、そういったアウトプット作業をすることにより、さらに理解が深まります。
さらに、だれかにその本の面白さを伝えようなどと考えて読書をすると、ただ漫然と読んだ場合より、より良く読むことができるでしょう。
さらに本書では、読んだ内容に対して簡単なコメント、「○○の場面で感動した」「私はこう思った」など感想を加えることを勧めています。
文字情報はどうしても左脳の働きが重視されますが、そこに「感動」といった情動を加えることにより、より深く読んだ内容を味わうことができ、記憶にも残りやすいのでしょう。
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この本には、年代別の“オススメの本“もたくさん、詳しく掲載されており、ブックガイドとしても秀逸です。
私も時々パラパラとめくってみては、自分の子供の年齢に合った本はどんなものかなーと眺めています。
食物が身体の栄養であるように、「本は心の栄養」です。
お子さんの成長のために食事の内容、食べ方などを気にするように、面白い本を薦めたり読書のしかたを教えたりするのも、大事な親の役割だと思います。
また意外と、本を介しての触れ合いというのは、幼年期から成人後にわたって持続可能な親子のコミュニケーション手段にも、なるのではないでしょうか。
(引用のページは単行本版によります)