5月のあたりだっただろうか。ビールがおいしくなくなった時期があった。
これはもしや、いま流行りの感染症による味覚障害か! などと思ったりもした。しかし、感染するような思い当たることもなく、他の症状もないので違うだろう。
もちろん、今回の感染症がどの程度の症状が出現して、どの程度広がっているかははっきりしない点もあり、不顕性感染の可能性もゼロとは言えないが。
まあ、感染はしていないだろう。それより今回はビールの話である。ある時期、それまでおいしいと思って飲んでいたビールがおいしくなくなったのである。
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いろいろと考えた。そして、ビールを飲む機会が減っていることが関連しているのではないかと考えた。
つまり、いわゆる職場の飲み会や同僚、後輩、あるいは学生との飲み会をすることが無くなったのだ。これはまさしく最近流行りの感染症による。
3月下旬あたりであったか、飛び立とうとする難民救出の飛行機にかろうじて飛び乗るように飲み会をした後は、まったく行っていない、参加していない。
ビールを飲むのは、家でときどきチビチビと飲む350ml缶だけとなった。
その家飲みビールが、5月にはおいしくなくなったのだ。
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それがなぜ関連しているかと考察すると。次のようである。
まず、ビールは基本的に、そんなに“うまい”ものではないのかもしれない。いや確かに“うまい”ビールはあるし、“うまい”ことはうまい(結局“うまい”のだが・・・)。
しかし、生物学的に考えると、ビールの味は生物が好みそうな味でもないのではないか。
つまり、生きるのに必要な“甘い”や“塩辛い”ではなく、ビールはむしろ“苦い”といった毒の警告のような味覚である。
“うまい”とはいっても、決してダシのような“旨味”に満ちているわけでもない。
アルコールの依存性や気分高揚を期待する気持ちも影響しているかもしれないが、それではビールの“うまい”を構築しているものになにがあるだろうか。
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私はそこに、“楽しさ”があるのではないかと考える。
つまり飲み会や会食などでビールを“楽しく”飲んだ経験が、ビールを“おいしく”しているのではないか。(まあ、ときには”楽しく“飲めない飲み会もありますがね)
お店の雰囲気やおいしい料理も、もちろん加担していると思う。
そして、ビール片手にワイワイと飲んだ経験や、何杯ものジョッキを空けながら語り合った経験が、その人の感じるビールの味に、良い影響を及ぼしているのではないか。
そのビールと共に体感する“楽しさ”が薄れてくると、ビールもただの苦い飲み物としての本性が目立ってくるのではないか。
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幸い、ビールのおいしさは、その後戻ったようであり、今は家で缶ビールをおいしくいただいている。
一時的なことであり、上のように考えたことは、まったくの見当はずれだったのかもしれない。
しかし、この一時的な体験は、あらためて飲み会や飲みながらのディスカッションの楽しさを感じさせてくれた。そういった意味では良い経験であったと思う。
再びそういった日々が戻ることを期待する。