新 ガラクタ捨てれば自分が見える カレン・キングストン 小学館文庫
「身の回りの整理整頓をすることによって、人生の整理整頓を行う」という内容の本です。
やましたひでこさんの『断捨離』や、こんまりこと近藤麻理恵さんの『片づけ』シリーズなどの源流ともいえる本ではないかと思います。
つまり、「身の回りを整理することによって人生を良い方向に変える」というコンセプトの大元となる本なのです。
たしかに、身の回りを整理することによって、雑多なモノたちを排除し、余計なストレスや気がかりを減らすことができると思います。
また、いらなくなったモノや着なくなった衣服が、いつまでも収納にあるのは、“無意識”に対しても良いとはいえないでしょう。
知らぬ間に(意識しないレベルで)、ストレスが貯まったり気にかかっていたりしそうです。
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この本では、ガラクタを処理して人生を変えていこうという思想を、「風水」の思想と関連づけて述べています。著者は「風水」の専門化でもあります。
とはいっても、ちょっと眉唾の気味もある風水という思想を、メインに紹介しているわけではありません。
風水というと、家の玄関の方角であるとか、なにか風水グッズをこの場所に置くと運気が高まるだとか、よけいにガラクタが増えそうな気もします。
しかしこの本では、そういった風水グッズを導入するのではなく、「運気を妨げているガラクタ」に着目しています。
「運気を妨げているガラクタ」を処理することで、運気を呼び込むというわけです。
もちろん、ガラクタ処理と風水、そしてそれらが人生を好転するという話に、科学的根拠などはございません。
しかし、どうせ人生なんてどんなことで転ぶか分からないものですし、科学的に進めていくものでもありません。
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10年ほど前にこの本を読んで感銘を受け、少しモノを片付けたりしました。思い切っていろいろ捨てたこともありました。
それで、人生が変わったかは分かりません。そもそも人生の変化なんて分かるものではありませんが。
しかし、マイナスにはなっていないと思います。少なくとも、捨てなきゃよかったなんて思うことはありません。
さらにこの本では、モノのガラクタだけではなく、体のガラクタ、心のガラクタ、はたまた魂をきれいに過ごすことも述べています。
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とても良い本であり、今回、新版が出版されていたので、ご紹介しようと思いました。
心や深層意識を平穏に保ち、現代の「マインドフルネス」などにもつながる考え方だと思います。
掃除などのいわゆる下座行も、心を磨くのに役立ちます。さらに身の回りのガラクタ、心と体のガラクタを捨てて、個性を思う存分発揮できる人生を送りたいものです。
私がこの本の中でお奨めしているのは、新しい方法―身の回りの整理整頓をすることによって、人生の整理整頓を行うということです。その結果、あなたの人生に新たなエネルギーが入り込んでくるという効果は、絶大なものがあるのです。
(P21)
何かしら「行動」することが大事です。たとえば「人生を変える」にしても、「変える方法」というものがあるのではなく、何かしらの「行動」をすることによって、自然に追従して変わっていくものだと思います。
ジョギングなどの運動をしたり、瞑想をしたり、考え方を変えたりと、「行動」を変えるうちに生き方も変わってくるのです。
「食器を洗えば、手もきれいになる」といったところでしょうか。
家に「ガラクタ」を溜め込む人は、体の中にも溜め込みがちなのです。物質的な「ガラクタ」はあなたの人生の成長を妨げますが、体の中の不純物はもっと深刻な、時には命に関わるような結果をもたらします。
(P210)
身の回りの“モノ”のガラクタだけでなく、自身の体のガラクタもきれいにしましょうということです。
食事に気をつけ、お通じをよくすることは、快適な身体機能を維持するためには重要です。
でも、それだけではないと思います。
「腸は第二の脳」とも言われます。自律神経の稠密なネットワークが形成されており、あたかも自分の考えで消化吸収という妙技をこなしているようにみえることから、言われています。
しかし、「第二の脳」である腸は、その複雑な消化吸収機能のみならず、人間の精神活動にも大きな影響を及ぼしているのではないかと思います。
昔から“腹”は気持ちの座として重視されています。「腹が立つ」「腹持ちがならない」「腹がすわる」「腹に落ちる」など、“腹”を使った精神・心理的な言葉が、昔から使われてきました。
そんな「腸」のガラクタもきれいにすることにより、消化吸収もそうですが、肌の状態から精神状態にまで良い影響をもたらすことができると思います。
あなたの家に「ガラクタ」があるのなら、心の中にも「ガラクタ」が溜まっています。
(P229)
あなたがもう使わないもの、好きではなくなったものを処分すると、それに執着していた魂の一部が自分のところに戻ってくるのです。
(P247)
さらに、心のガラクタも注意すべきモノです。モノとしてのガラクタが心のガラクタを蓄積させ、それが続くと「魂」(ここでは“精神”や“考え方”のような解釈でしょうか)でさえも不安定になってしまいます。
怒りや執着、欲などは、ガラクタを貯め込む原因ともなりますが、一方でガラクタが貯まることにより増強されるといった悪循環も引き起こすと思います。
悪循環はどこかで、どこででもいいので、断ち切らないといけません。その一歩として、ガラクタの整理が良いのです。
また、怒りや執着、欲など心の問題に対する良い対処法としては、「仏教」や「マインドフルネス」が優れていると思います。
ガラクタ整理をするとともに、こういった分野についても勉強するとよいでしょう。
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さて、ここでは引用はしませんでしたが、内容では「本」の片づけについても述べています。
・・・痛いところです。
私も机のうえにたくさんの本(既読、未読とも)が積み重ねられており、ある程度のスペースを占拠しています。自宅の机も積読書によって、机というよりは本置きになっています。
「死蔵」という言葉もあり、『本を守ろうとする猫の話』にもありました。本にとってもかわいそうなことであります。
この本を再読してみて、「なんとかしないとな」と思ったところでした。