手術の「反省」から学ぶこと

2020年6月12日

「反省」というと、ネガティブなイメージがある。ひところ「反省ザル」だったか、ネガティブな格好をするサルが有名になったこともある。

「反省」というと、「悪かった点を挙げ、陳謝する、繰り返さないことを誓う」といったドロドロにネガティブな感じがしてしまうが、そうではない。

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手術でも、思うようにうまくいかないこともある、うまくいっても予想と違ったこともある。

どうだったのか振り返り、考える。たとえば、術前の画像での読みと違っていたのか。意外に硬い病変だったのか。

こういったことは、もしかして術前の画像や症状から予測できていたかもしれない。次に生かせるかもしれない。と振り返り、考え、そして次に生かす。

この「振り返り、考えて、次に生かす」ことが「反省」である。ネガティブな作業ではない。むしろポジティブな、仕事における成長のためには欠かすことのできない作業である。

そして、できれば上司や先輩など、よく教えてくれる人と一緒に「反省」をすると良い。難しければ、自分なりに「反省」して考えたこと、得られたことを、後日見てもらうと良い。

それなりに、「ここはこうすれば良い」とか、「このように考えると良かった」、などと助言してくれるだろう。

うまくいった手術でも、なぜうまくいったのか、たとえば術前の画像での読み通りだったのか。考えていた病変の位置や性状の通りであったのか。次の手術に生かす知見はいくらでも得られる。

せっかくの仕事の機会を与えられたのだから、どんなことからも学ぶつもりで勉強させていただきたいものであり、そのために行うのが「反省」という作業である。

せっかく経験させてもらった手術から、最大限のものを引き出し、得ようとする姿勢と行動が「反省」である。

さて、手術の「反省」で得られたことを、どうすれば次に生かせるように残すことができるか。思い知って頭に沁み込ませたつもりでも、意外と忘れてしまうものである。

手術記録はそのための手段の一つでもある。自分だけの「反省」のために、手術記録に赤ペンででも思う存分に書き込んでおくと良い。

公文書であるカルテ上の手術記録に、個人的な感想やメモなど、ましてや「ここは開頭が足りなかった、ここは術前画像で見落としていた」などと書き込むことはできない。

手術記録はコピーを手元にとっておき、そのコピーを「自分だけの手術記録」として、赤ペンか何かで真っ赤になるまで書き込み、保存し、ときどき見直すと良い。

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これはなにも外科手術だけに限らず、内視鏡やカテーテルによる検査や治療でも、画像診断でもリハビリでも、看護処置にしても同様である。

さらにいえば、世の中の仕事や勉強など、すべてに当てはまるのではないか。営業の仕事でも、建築の仕事でも、レジの仕事でも同様である。

自分の技量を効率的に向上させ、仕事を高めるポイントの一つは、「反省」することだ。

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