プロの残業術 長野慶太 草思社文庫
残業については、ネガティブなイメージしかありません。サービス残業、管理職は残業代が出ない、ブラック企業などと、様々な社会問題も附随しています。
そういった「残業」のイメージを一新するのが、この本です。積極的な残業により自分を成長させることについて、書かれています。
日中は邪魔が多く、なかなかまとまった時間がとりにくいものです。あまり考えずにできるようなルーチン業務や義務の仕事は日中に終わらせ、残業では次の仕事の準備や、自分を成長させるための時間としましょう。
著者は銀行勤務を経て米国でコンサルタント会社を起業し、その経験を活かして仕事における時間の考え方や職場の人間関係に関する著書を多く出されています。
「自分のための仕事」をする残業時間という考え方、いかがでしょうか。
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「考える時間」を効率化できる人はいない(P75)
プラスアルファの時間をかけた提案は、それなりの時間しか変えていない提案より必ずいいものになる。
その時間を省略して「残業ゼロ」を目標にするとは、これを手抜きと世間では呼ぶのである。(P76)
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期限が決められている場合はある程度のところで見切りをつける必要もあります。しかし、仕事内容のブラッシュアップは、より考えるほど、見返すほどよくなっていくものです。
「考える時間」については、個人の考え方や考えるスピード(?)などにもよるので、”このくらいの時間で考える”などと決めることは難しいと思います。
また、よくよく考えたのちにしばらく寝かせていると、潜在意識殿のおかげをもって、何日か後にふとピンとくることもあります。
「考える時間」と同様に、「鍛える時間」も効率化できません。必要な時間は必要であり、個人差もあるのが、考える時間や修練の時間です。
やるべき業務は終了したから定時で帰宅。ということは、まったくその通りですが、それでは仕事をこなしているだけで、成長を得られません。
仕事は、仕事をこなすことに対する「お金」という報酬以外に、「成長」という報酬も得られる貴重な機会です。せっかく仕事をしているのですから、「成長」を得て、仕事の更なる効率化と、より多くの「自分のためになる時間」を得られるようにしましょう。
研修医なども、オオッピラニハイエマセンガ、そういうことには、時間をかけるべきです。
いやむしろ医師という、技術が重要(職人的にも、営業職のごとく人間相手的にも)な職業は、ルーチン業務から成長を得るとともに、「自分の成長のために費やす時間」としての残業は、考えるべきかと思います。
(もちろん、ルーチン業務が多くて残業突入することがほとんでですが、なにごとも修業と考えて・・・)
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飲み会は遅刻しろ!
自分からは飲みに誘うな
・・・会社帰りの酒の付き合い(いわゆる「職場酒」)はあなたのためにならない。(P159)
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残業ではありませんが、職場での行事、とくに飲み会も自分の時間を奪う要素であります。上司に誘われたり職場の行事であったりする飲み会に参加しなければいけない場合があります。
上司の誘いであればなかなか断りにくいですし、職場行事もよほどの理由がなければ(作らなければ)欠席するのも気が引きます。
上司に誘われたらどうするか。職場にもよりますが最近はそういうことも少なくなっているのではないかと思います。世代間で気の合う話はなかなか無く、話してもグチだけになってしまうのかもしれません。
でも上司もなにか話したいことがあるのでしょうから、グチを聞くだけでも付き合ってあげてください。
その点、職場の飲み会など大々的なことは、仕事が長引いたとかで遅刻することが、比較的やりやすいと思います。
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また、胸に刻んでおくべきこととして、こちらから飲みに誘うときも、相手や周囲の状況をよく考えて、誘うのがいいのではないでしょうか。
「あいつの仕事は順調に進んでいるのだろうか」「次の日に大事なプレゼンはないだろうか」などと考えます。
もし、相手が仕事に追われていたり、プレゼンの準備に忙しかったりする状況であれば、またの機会を考えます。なかなか自分の創造の及ばないこともありますがね。
また、ちょっと誘ってみて少しでも難色を示すようであれば、こちらは素早く足を引くことも重要だと思います。
まあ、飲むことで楽しく過ごせる人もいれば、飲めない人、あまり飲み会が好きではない人もいるわけですから、相手の性質にもよります。
いわゆる“ノミニケーション”のような神話も、わずかではあれ現代にも残っているような気はします。
なので、自分が相手と少しゆっくり話をしたいとか、相手が悩んでいることがあるようなときは、ちょっと強く引っ張るようなこともある程度必要かもしれません。バランスですね。
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自分の夢のために残業をするのだ。
そして人に「やらされる仕事」は、日中の障害の多い時間に回すべきだ。楽しいことだけを私的残業で実現して夢を追い、そうでないものは巷の書籍が吠えるように定時まで終わらせればいい。(P204)
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ルーチン業務や義務の仕事は間に合わず、残業に突入するのは、仕方がありませんが避けたいところです。
できればそういった仕事は、さっさと日中に終わらせて、定時で帰宅するなり、飲みに行くのが理想と考えます。
しかし、そうではなくちょっと仕事を続けて、次の日の仕事のとっかかりを作っておくことも考えられます。たとえば書類作成を次の日にする予定であれば、アウトラインだけでもラフスケッチしておくなどです。
もしくは自分の仕事に関わる書籍を読むこと。たとえば雑誌などで自分が携わっている分野の最新の知見を手に入れたり、営業能力や開発戦略などの技術について勉強したりということです。
しかし、定時に業務を終わらせたあとの残業の選択肢として、もう一つあります。それが私的残業です。
その残業はルーチン業務をするでもなく、他の人の仕事を手伝うでもなく(これも場合によっては必要です)、自分のためのことをするわけです。
自分がやりたいこと、好きなこと、自分の成長のためになるようなことをする時間を、残業として行います。(残業代が出る場合などを考えると、これも仕事のためと考えましょう)
そうは言っても、あまりに仕事とは関係ないことを、職場でするのはダメでしょう。たとえばゴルフの素振りやパターゴルフなど(こういうことは部長くらいになって、スペースと周囲から何も言えないバリアを得てから、どうぞご勝手に)。
たとえば、仕事内容とは遠くても、自分がより良く生きていくことは仕事の充実にもつながりますので、読書をしたりして精神を涵養するのはいいと思います。
日記を書いたり、ブログやSNSで何か書いてみたりするのもいいかと思います。
私もこのブログは、残業とは言えませんが、主に朝の始業前の時間を利用して書いております。
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「残業」というとネガティブなイメージしかありませんでした。しかし、私はこの本を読んで、自分の勉強や成長のために積極的にする「残業」という考え方に惹かれました。
早く帰って家族とともに過ごす時間も大事ですし、ちょっと書店をのぞく時間も大事ですが、自分のための時間を作るということも大事です。
趣味でも勉強でもそうですが、なかなか自分のための時間は取れないものです。そういったときに、終業後のちょっとして時間(残業時間)や、朝の始業前の時間を作ることが良いと思います。