たとえば、患者さんや家族に病状や手術などの説明をする場がある。いわゆる「ムンテラ(ドイツ語のMunt Therapieの略らしい)」や最近では「IC(informed concent)」とも呼ばれる。
経験を積んだ医師であれば、ときにはパターンに乗せるように、話を進めることができるだろう。
話している方も、これまでそういう話し方でうまくいっている(おそらく)ので、これでいいと思っていることが多い。
しかし、そういった様子を初学者の目から見ると、「こうしたほうがいいのではないか」、「これは言わないほうがいいのではないか」、「こういうことも言ったほうがいいのではないか」・・・など感じたり思ったりすることもあると思う。
自分も、上司の説明に同席して、「そんなこと言っても患者さんは分かりませんよ」などと感じることがある。
研修医や担当医、あるいは看護師が説明の場に同席して、説明を一緒に聞いていて、そういう感じを受けたときは、どんどん教えてほしい。
こちらも決して完成された者ではないので、少しでも直すところは直して、より良い説明ができるようになりたいと思っているのだ。
研修医などに、説明の場に同席してもらうことがある。一つは彼らの勉強になると思う。話の流れや態度、受け答えなど学ぶところはあるだろう。
一方では、上記のような具合にして指摘してもらうことで、上級医も学ぶことがあると思う。
そして、たとえば説明の場が終わったあとに、上級医と同席した者の間で、「あの話をしたとき、患者の反応はどうだっただろうか?」、「説明が足りなかった点はないだろうか?」などと「反省」の場を設けることが、お互いに勉強になるだろう。
しかしもう一点、我々と患者・家族との間には、決して取り去ることのできないカベがあることを忘れてはいけない。
知識や情報の量的・質的違いもあるし、そもそもの考え方の違いもある。
それは、我々個人々々の間にも、もともとあるものだから。